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Furboが目指す未来は「人間より優秀なペットシッター」
2019/02/25

大切な愛犬をお留守番させているとき、「元気かな?」「体調悪くなってないかな?」とついつい心配になりますよね。そこで活躍するのが「見守りカメラ」です。大手家電メーカーも参入していろいろな製品が発売されていますが、その中でもおやつが飛び出す仕掛けで人気なのが「Furbo」です。「PET TECH TALK」第5回は、ペトことを運営するシロップ代表の大久保が、Furboを販売するTomofun代表の布施健さんに、「見守りカメラは今後どのように進化し、ペットライフをサポートしていくのか」についてお話を伺います。

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Furboは「仮想ペットシッター」になりたい

Furbo

大久保:Furboは2017年にAI(人工知能)機能を登載した新型が発売されて話題になりましたね。具体的にはどのように生かされていくのでしょうか?

布施:現時点ではワンちゃんに何か異変が起きていないかを飼い主さんに知らせる「アラート機能」のみとなっていますが、この先に考えているのは予防機能です。例えば、「ある犬種や年齢のワンちゃん、疾患があるワンちゃんにはこういうリスクがある」というところまで通知できるようにしたいですね。

AIはたくさんユーザーがいることで「ディープラーニング」(深層学習)が進んで精度が上がっていきます。将来的には、問題が起きたときに「動物病院と連携して……」みたいなところまで考えています。

大久保:面白いですね。アメリカでは購入後の追加サービスとして有料のプランも展開されているようですが、日本でも導入する予定はありますか?

布施:今後のアップデートで予定しています。サービスはAIを活用したもので、先ほどのアラート機能に加えて、「ドッグダイアリー」というワンちゃんの1日の動きを30秒から1分くらいの早回しの動画にして1週間くらいまとめておく機能。過去の動画を見られるようにするクラウドレコーディングなどです。

カメラを使って「見る・話す・おやつをあげる」機能は無料のままで、AIを使って「これまで見られなかった部分が見られるようになる」機能を有料化しています。

大久保:見守りカメラが見守るだけではなくなっていく形ですね。方向性としてはどこを目指しているのでしょうか?

布施:イメージとして、「仮想ペットシッター」になりたいんです。人間は24時間集中力を切らさずに見守ることなんてできませんので、理論的にはAIのほうがペットシッターとして優秀なはずです。そしてデータが貯まればより客観的な判断ができます。ただ見守る以上のことをFurboが担えればと考えています。

「大手の参入はウェルカム。僕たちはひたすら犬にフォーカスする」

Tomofun代表の布施さんとシロップ代表の大久保

大久保:AIやIoTの分野で昨年はシャープの参入に注目が集まりましたね。大手の市場参入はどう見ていますか?

布施:すごくウェルカムですね。IoTは話題にはなってもまだまだ世の中には浸透してないじゃないですか。僕もAmazon Alexaを持っていますが、活用できているかというと天気予報を聞いて音楽を流すぐらいです。ベンチャー1社の資金力やブランド力には限界がありますので、大手が盛り上げてくれれば、僕らとしてもチャンスが広がると思っています。

大久保:そうは言っても競合ですよね?

布施:本当にウェルカムなんですよ。以前パナソニックさんが遠藤憲一さんを起用した見守りカメラのテレビCMをやっていたんですが、そのときに「見守りカメラ」が注目されたことでFurboの購入数が倍くらいになって。同様に日本エイサーさんが記者会見をやったときも3倍くらいになったんですよね。大手はそういう盛り上がりを作ってくれるので、どんどんやってほしいです。

日本とアメリカで異なる「愛犬のお留守番」の心配事

Furbo

大久保:Furboはもともと台湾で生まれたものなんですよね。

布施:そうですね。始まりは台湾なんですけど、マーケットとしてはアメリカ・ヨーロッパ向けに作ったものです。台湾でもテストマーケティングはしてたんですけど、やはり規模が小さいので。売り始めたのは日本とアメリカで、クラウドファンディングからスタートしました。

大久保:グローバルで展開すると地域によって使われ方が違ったりするんですか?

布施:けっこう違いますね。面白いのは、アメリカの飼い主さんと日本の飼い主さんで「お留守番に対する心配の要素」が違うんです。アメリカの場合は「ワンちゃんが退屈してないか」というのを心配されるんですけど、日本だと「ワンちゃんの体調」を心配してるんですよ。だから日本のユーザーはよく「Furboで室温や湿度がわかったらいい」と仰いますが、グローバルで見るとそういう話が出るのは日本くらいです。

大久保:面白いですね。どこからその違いが生まれてくるんでしょうね。

布施:日本の場合は犬を子どものように考えることが多いんですけど、欧米だと子どもというよりパートナーなんですよね。その違いが製品に求めるものの違いにもなってくるみたいです。

Tomofun代表の布施さん

大久保:ペットカメラはさまざまなメーカーが出して群雄割拠という状況ですが、Furboが差別化できたのは何が大きかったのでしょうか?

布施:やっぱり「遊べるドッグカメラ」という要素が大きかったなというのと、Instagramでの盛り上がりですね。その歯車がたまたまうまく噛み合ったんだと思います。

大久保:マーケティングとしてはInstagramの存在が大きかったということですね。

布施:めちゃめちゃ大きいですね。以前は流入経路としてヤフーニュースとかが大きかったんですけど、今はみんなInstagramを見ているので、そこでいかに接点を作っていくかを意識してます。

大久保:うちのコルクも撮っていただいて(笑)。


大久保:ターゲット設定はどのようにされてますか?

布施:メインターゲットは25〜40歳くらいの独身、もしくは結婚していて子どもがいない女性です。やっぱりワンちゃんが子ども同然になるので、そういう「究極に犬ラブ」な人たちとうちの商品は相性がいいです。モデルさんでわかりやすくいうと森泉さん、小泉里子さんといった方ですね。

大久保:そこはペトことと同じですね。表参道でドッグカフェもやられてましたよね。「こういう訴求をするとウケが良い」みたいな発見はありましたか?

布施:面白いなと思ったのは、飼い主目線と犬目線でコピーライティングしたものを比較したら、犬目線のほうが結果が良かったんです。例えば飼い主目線だったら「愛犬が心配なあなたに」というので、犬目線だったら「ママ、僕もこれほしいワン」とかですね。

あとは自分たちで作った映像ってあんまり反響が良くなくて、インスタグラマーさんとかが撮った動画のほうが好評ですね。

大久保:いかにもな宣伝だと認知にはつながっても、SNSの時代に拡散していかないというのがあるんでしょうね。


大久保:それだけ顕著に結果が出ると確かにウェルカムですね。大手としては入口が「ペット」でもゴールはやはり「人」を見据えていると思うんですが、Furboはどうですか?

布施:正直「人」は見据えてなくて、それも「ペット」でもなく「犬」ですね。大手は豊富な資金力で空中戦が得意ですが、ペット市場ってそれだけではないじゃないですか。例えば御社の「OMUSUBI」とも組ませていただいたことがありますが、保護活動への取り組みは売り上げには直結しないものの、継続的にやっていくことに意味があると思っています。僕らは犬にひたすらフォーカスして、「犬の飼い主さんたちに応援してもらえるブランドになる」というところを考えています。

大久保:猫向けは考えていないんですか?

布施:やらないと思いますね。やるとしても別ブランドですね。犬と猫で飼い主さんが全然違うんですよ。犬を飼えないから猫を飼うっていう人も多いですし、犬を飼ってる人のほうが子どもに近い感覚で飼っているというのもありますね。

大久保:興味深いですね。マーケティングの知見についてもぜひ教えてください。

テクノロジーで世の中をちょっとでも変えたい

Tomofun代表の布施さんとシロップ代表の大久保

大久保:布施さんがFurboに関わるのはどういう経緯があったんですか?

布施:前職がPR会社だったんですけど、僕はIoTとかAIといったテクノロジー系にすごくワクワクを感じていて、将来的には自分で何かをやりたいなって思ってたんです。そんなときに仕事でもプライベートでも知り合いだった海外の人からFurboの話を聞いて。ちょうど世に生み出されるタイミングでしたね。

テクノロジー、IoTっていう切り口がまず面白いなと思ったのと、僕自身が小学生のときから家に3匹ワンちゃんがいた環境だったので、「ペット×テクノロジー」が面白いなって思ったんです。

マーケットとしても犬1匹あたりにかけるコストがすごく増えていて、ポテンシャルあるものとポテンシャルあるものの掛け合わせに魅力を感じました。どんどん、「日本で会社を作ってやっていこう」という話になっていきましたね。

大久保:お願いされたというよりは布施さんからもアプローチしたという感じだったんですね。

布施:そうですね。もともと日本も視野には入ってたと思うんですけど、日本って特殊なのでなかなか海外での成功パターンを横展開しづらいマーケットなんです。だから現地でやってくれる人がいるということで、お互いに都合が良かったんだと思います。

大久保:最後に、Furboとしてやりたいこと、個人的な夢について教えてください。

布施:Furboに関しては、日本で「犬を飼っているならFurbo」となるようなブランドを作っていくのが僕のミッションかなと思っています。

個人的なところでは、Furboに限らずテクノロジーとか、今はまだ無いソリューションみたいなもので世の中をちょっとでも変えたいですね。自分が年を取って振り返ったときに「良い人生だったな」と思える。そういうのを目指してやっていくんだろうなと思います。

大久保:同じペットの分野で、飼い主さんや犬猫たちの幸せにつながることをやっていきたいですね。ありがとうございました。
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