今回は、元Cancamの専属読者モデルで、獣医師の下薗なおこさんにインタビューさせていただきました!
なおさんのファーボの活用方法や愛犬との過ごし方について聞かせていただきます!!
「犬の飼い主さんを悩ませる三大問題は、分離不安・興奮・攻撃性」と、アメリカのある有名なドッグトレーナーさんは言います。
とりわけ、ワンちゃんをお留守番させることが多い方は、「分離不安」というワードを耳にすることが多いでしょう。
しかし、どういった症状が「分離不安」をさすのか、具体的に説明できる方は多くないでしょう。
そこで今回は、ワンちゃんが抱える「分離不安」について紹介いたします。
分離不安とは、ワンちゃんが独りで過ごすことに対して抱える不安です。
ご家族の勤務形態の変化・引っ越し・別れなど、環境や生活が変化する際、彼らも、人間と同じく多かれ少なかれストレスを受けるもの。
多くの場合は、2~3か月で適応しますが、ストレスが大きすぎると、問題行動や体調の異変に発展することもあります。
【典型的な問題行動や症状】
上記の問題行動を見かけたことがある愛犬家の皆さんは、「てっきり退屈なだけと思っていたけど分離不安なの?」「体の問題と思って検査してきたけど、心の問題なのかしら?」と心配に思われるかもしれません。
しかし、行動や症状の痕跡だけを見ても、分離不安か退屈凌ぎのイタズラかどうかを見極めるのは大変困難です。
ご家族が在宅と不在の両方で、ワンちゃんの行動を確認する必要があり、これにはビデオ録画が役に立つと言われています。
一般的に分離不安の問題行動は、ご家族がでかける度に、また、でかける準備(お化粧や車のキーを取り出す等)を始めてから、自宅を出る直後までの時間に集中して発生します。
一方、退屈の場合は、ご家族が自宅を離れた後、しばらく時間をおいてから行われる「計画的なイタズラ」と言えるでしょう。
判断が難しいのは「排泄の問題」です。
さまざまな原因が考えられるので、まずは獣医師さんに相談することをお勧めします。
失禁の場合、意図的なものなのか、自覚があるか、どんなタイミングと状況で起こるかを見ながら、原因を絞り込んでいきましょう。
「意図的ではない、または自覚がない失禁」とは、おねしょや、歩いている間等に無意識にポタポタこぼすことで、加齢を含む医学的な問題と考えた方が良いかもしれません。
排泄の失敗は、原因に関わらず、叱ったり罰を与えたりしても解決しません。
ましてや分離不安が疑われる場合に、ワンちゃんを激しく叱ることは禁物です。
不安から発生する問題行動は、不服従の意志表示ではありません。対処を間違えると、かえって不安を募らせ、症状や行動が悪化する可能性があります。
分離不安が引き起こす症状や問題行動は、ワンちゃんの年齢が上がるにつれ、改善・矯正が難しくなるそうです。
個々のワンちゃんに合った対処法を選び、悪化する前に手を打ちたいものです。
大半のケースは、トレーニングで解決・改善が見込めるとか。
ドッグトレーナーの指導を受ければ、個々のワンちゃんの性格・生活のリズムや、環境全体を客観的に見直し、無理のないトレーニングが可能になります。
ご家族も安心できる上、かえって時間短縮になることもありますよ。
とにかく誰かが一緒にいれば、お留守番ができるタイプのワンちゃん向け対処法です。
ただし、自宅以外の環境や、家族以外の人や他のワンちゃんの存在がストレスにならないことが前提となります。
預かり中に、散歩やアクティビティーを提供する施設もありますので、ワンちゃんの好みに合わせて利用しましょう。
獣医師さんの診断・処方のもと、多くの場合、人間にも処方される薬を使用します。
ワンちゃんの症状や持病などにもよりますが、服用は通常6か月~1年で終了します。
また、複数の対処法の組み合わせ(例:預かりサービス+トレーニング)で相乗効果を上げることも検討されてみてください。
子犬を迎えられるご家族は、最初にじっくり時間をかけて、お留守番に慣れさせることをお勧めします。
また、クレートを「安心できる場所」と理解させれば、万一の入院時や災害時にも役立ちます。
ワンちゃんの寿命も15歳に届く時代。
その間、ご家族や環境・生活に何も変化が起こらない方が、珍しいかもしれません。
分離不安の解決には手間と時間がかかりますが、一緒に乗り越えられれば、ご家族とワンちゃんとの間により良い絆を築くことができるでしょう。