犬は私たち人間に愛情をたくさんくれます。でも犬は寿命が人間より短い。だから余計大事にしたいと思うんです。
「外出中、自宅に残っている愛犬はどう過ごしているのだろう」。一人暮らしで犬を飼っている人なら、誰もが一度は抱く疑問。その思いを解決するのが、ドッグカメラのFurboだ。スマートフォンの普及と共に徐々に広がりを見せるドッグカメラ。Furboを販売するTomofun代表の布施さんは「いつでもどこでも、飼い主と愛犬が繋がる文化を日本に」と言います。その思いはどういうものなのか。お話を伺いました。
はなれている時間を、どう一緒に過ごすか?一つの解決策がドッグカメラ
愛犬の生活の大半は、飼い主を家で待つ時間。一緒にいる時間と同じくらい、はなれている時間の過ごし方も重要になる。自宅にFurboを設置すると、常に家の中の様子を見ることが可能になる。加えて「飛び出すおやつ」や「ワンワン!お知らせ」など、従来のドッグカメラにはないコミュニケーション要素が強い機能が特徴だ。
「Furboには専用のスマートフォンアプリをタップし、おやつをあげる機能があります。これは、ただ給餌をするのではなく、"はなれていてもおやつをあげられる"というコミュニケーションの機会を提供しています。そういう愛のある時間を楽しく届けることがFurboの基本コンセプトになります。"遊べるドッグカメラ"と言ってもいいかもしれません」
都市に住む一人暮らしのほとんどが、自宅に残す愛犬に対して、不安や罪悪感を抱いていると布施さんは言います。ペットと都市に暮らす人が増える一方で、この不安や罪悪感に対して、良い解決策が生まれていなかったのが現状だ。
「犬は好きだけど、一人暮らしで留守が多い。それが懸念で犬が飼えない人も多くいると思います。犬を飼うハードルを下げることもFurboの一つの役割です。安易にペットを飼うのではなく、真剣に考えるからこそ、直面する悩みだと思います。今、保険などペットを飼いやすくするソフト面のインフラが整ってきています。ドッグカメラを一般的にしていくことで、Furboもペットを飼いやすい社会作りに貢献できるのでは、と考えています」

インターネットの力で、愛犬との生活をより豊かに
幼い頃より3匹のシーズーと暮らしてきた布施さん。大学でマーケティングを専攻した後、若くして一部上場企業の部長を経験するなど、ビジネスで頭角を現した。一人の愛犬家ではあったものの、一般的な犬業界の人と比べると、一風変わったキャリアだ。
「前職では黎明期のPR業界に飛び込み、メジャーになっていく道のりを肌で体験しました。一部上場企業の部長職というポジションを、若くして経験することもできました。一方で、以前より起業することを決めており、30歳を迎える節目の頃より、自分のやりたいことはなにか、と考えはじめました」
PR業界での経験から、当たり前ではなかったものが当たり前になっていくことに喜びを覚えるようになった布施さん。一人の愛犬家であった布施さんが、生業として犬に関わるようになったのはこのタイミングだ。スマートフォンの登場で、人々の生活が大きく変わりはじめ、その波はペット業界にも徐々にやってきていた。
「IOT(Internet of Things : あらゆるモノがインターネットに接続されること)の登場を目の当たりにし、これからの世の中を大きく変えていくと感じました。いまだペットの世界はアナログなことが多い。IOTの登場で、今まで解決できなかった課題を、新しい技術で解決できるのではないか、と考えドッグカメラに着目しました。自分が犬と暮らし、犬に助けられてきたこともあり、飼い主の生活の課題を解決したい、と思ったんですね」

一緒にいても、はなれていても、笑顔でいられる関係が理想
最後にドッグカメラという新しいサービスで、飼い主と愛犬の生活をより良くすることを目指す布施さんに、docdogのビジョンである「人と犬の幸福な関係」について尋ねてみた。
「いつでもどこでも笑顔でいられる関係、単語で言うと"Happy"という感じでしょうか。人と犬の幸福な関係と聞いたとき、最初に思い浮かんだイメージはそれです。という意味では、愛犬を留守番させているとき、飼い主が愛犬のことを想い、笑顔になるのはなかなか難しいと思うんですよね。はなれていても、いつでも一緒。Furboのコンセプトですが、その心のつながりのようなものが、愛犬と飼い主の関係をより良くしていくことになると信じています」
◎編集後記
布施さんの原動力について。幼い頃に犬と暮らし芽生えた心のつながりの温かさ、それが太い幹のように彼の人格を形つくっているように感じる。そして、その温度を伝播させていくように、今多くの飼い主と愛犬の心をつなぎ、それを生業としている。本人から直接聞いたわけではないので、真意のほどはわからない。ただ、短い時間の中からでも、その温かい人柄を十分に感じることができたインタビューだった。