今回ご協力いただいたのは以下の15人です。この場を借りて、改めてお礼申し上げます。
動物業界以外からの投資案件が増え、動物医療のグループ化が進んでいます。ソフトバンクのペット業界への投資案件も記憶に新しいですが、今後も動物医療参入のファンドが増えることが予想されます。
2. 動物由来感染症の恐怖
もともと30年前の寿命は8才くらいとされており、原因の一つに感染症があります。フィラリアです。しかし、ここ最近ではSFTSというマダニ媒介の感染症が動物由来感染症として人にも危険を及ぼしています。そこで、1つ目は犬や猫からSFTSが感染するという話題です。これは伴侶動物の予防をしっかりしないと飼い主へも危険が及ぶことになります。
実際にはペット業界も高齢化が進む中(飼育されている犬の約6割が7才以上)臨床現場で感じるのはやはり寿命の延長による病気の増加です。ガン、心臓病、腎臓病など人同様の病気が死亡原因の上位を占めるようになり、ペットの家族化も進む中、高度医療が求められていることが明らかとなってきました。その中で、病院には行かず介護サービス(デイケアのようなサービス)やペットシッターなどが登場してきています。24時間見てはいられないだけに今後は必要なサービスだと感じています。
2. 飼育頭数の動向
現時点で2008年より犬に関しては減り続けている現状、また猫の横ばいな状況は今後どうなるのか。
3. ワクチンの3年ごと接種が基準となる?
WASAVAにおいて、コアワクチンの3年ごとの推奨があげられています。しかし、日本ではまだまだ普及せず1年ごとの接種となっています。サロンやドックランでも1年の証明書が求められている現状などは一度整理する必要はありそうです。ただ、レプトスピラが発生している案件もあり、ワクチンでも全て3年ごとという訳ではありません。
4. ペットグッズのデジタル化
例えば、時間になるとフードが出てくる機材や、猫の体重や尿量を計測するもの、監視カメラなどなど管理にふさわしい機材が豊富に出ていることは嬉しいことです。
体罰を肯定している人たちは「犬にやさしい、犬にストレスをかけないようにする、優しいトレーニングを推奨することで、犬が攻撃行動を示した際に、ストレスをかけないように回避に終始する指導をしてしまうことで、”咬めば・唸れば嫌な事が終わる”という学習をさせてしまい、むしろ攻撃行動を悪化させることがある」という危惧を示している。また「深刻な攻撃行動の場合で、いろいろな方法を試したがなおらず、飼い主が非常に困っている攻撃行動もあり、そうした深刻な攻撃行動に、罰を用いた方法を用いる場合があることを否定はできないのではないか」という意見もある。
実は、体罰に反対する声明の中にも、「罰を用いない方法で問題行動の改善が見られない場合には、「体罰」以外の嫌悪刺激を用いて問題行動の改善を図ります」という一文がある。体罰肯定派も否定派も、まずは罰を用いない方法を用いて改善を行い、それでも改善しない場合には罰を用いるという部分は、実は共通している。問題は、どのような罰、どの程度の罰を用いるかという問題、深刻な攻撃行動に悩む飼い主を助けるという目的と、罰による動物への負荷のバランスの問題だと思われる。
しかしながら、体罰議論は、こうした技術的な問題ではなく、体罰肯定派と体罰否定派の感情的な対立になりやすい傾向がある。双方が双方の悪い点を批判し合う構造では、建設的な議論は起こらず、双方の意見はぶつかり合い続ける。2019年、体罰問題が感情的な対立ではなく、建設的な議論になっていくかどうかは、ペット業界、特に、犬のしつけ・行動学の業界において注目のポイントとなるだろう。
一方で、どうぶつの腸内フローラに関する研究はまだ少ない中、アニコムグループでは、2016年から、どうぶつの腸内フローラに関する研究を開始し、2018年12月からは、ペット保険の契約者に対して 、腸内フローラ測定サービス「どうぶつ健活(けんかつ)」の提供を開始しました。腸内フローラ測定は、便を取るだけなので、どうぶつに負担をかけることなく、簡単に体の状態をチェックすることができます。また、その結果を見て、飼い主様がわが子の健康に、より向き合ってくだされば、未然に病気を防ぐことができるかもしれません。
腸内フローラの測定結果を当社の保険金請求データやどうぶつkokusei調査(生活習慣に関する当社独自調査)と照合することで、一部の疾病や生活習慣との関係も明らかになりつつあります。2019年は、「どうぶつも腸内フローラ測定で健康チェック」が注目を集めるよう推進してまいります。
特に「写真」はライフスタイルをアウトプットするツールとして、より盛んに撮られるようになるであろう注目の分野です。SNSが普及し、情報や経験を多くの人と共有できるようになった今、個人の表現ツールというところにとどまらず、情報やビジネスツールとしての写真の用途も拡大すると思います。
個人的に関心があるのは、写真のアナログ回帰。デジタルデータとして扱うのではなく、形にして写真を残すというスタイル。紙へのプリントはもちろん、オリジナルのグッズを作成したりデザインを付加するなどして、撮った写真でさらに特別なペットとの思い出を作るという2次的な楽しみを提案したり、演出する企画などを考えたいと思っています。
供給側としては単に「ペットと一緒に泊まれます」というだけでなく、一般的なホテルの提供する「安心・安全・清潔・快適」は当然のこととして、「こんな事ができます」「こんな楽しみ方があります」「こういうことを知っておくと役立ちます」といった、「サービスの多様化と差別化」が必要になるように思います。
供給量が少なかった時代は「ペットと一緒に泊まれる」というだけで稼働が見込めましたが、今後はペットツーリズム業界全体として、価格以上の質的満足度を提供できるように努力することがマーケットから求められてくるのではないでしょうか。
注目している分野はドッグレスキュー。弊店を利用するオーナーはいわば犬飼いのプロ。オーナー様のご年齢的に次の子を迎えるのを躊躇している方がいるのは事実です。レスキューでは成犬の里親はみつけにくいと聞きます。今以上にマッチングサービスが活性することを願います。
また人もペットも高齢化が進行している事から、シニア向けのサービス需要の高まりなどを背景に、ペットのQOL向上に資する新サービスにも注目しています。具体的には出張型トリミングやペットシッター、老犬老猫ホームなどの終生飼養施設などがそれです。
加えてテクノロジーを活用した新たな商品やサービスも2019年はブームになる気がします。ペットとの生活支援やヘルスケアにつながる各種のIoTデバイスがどの程度普及するのかや、中国や韓国ではビジネス化が進んでいる「クローンペット」の話題などは、日本でもさまざまな議論を呼ぶと考えています。また、先に述べたaiboをはじめとしたロボットペットの動向などについては命あるペットの代替として存在を確立出来るのか注視をしておきたいと思います。
2018年は「ペットテック」という言葉をよく聞きました。これは、ペットとテクノロジーの組み合わせがまだ珍しいゆえの言葉だと思います。2019年とそれ以降、ペットとテクノロジーの組み合わせはどんどん当たり前になっていくはずです。
ペットとテクノロジーの組み合わせは、最初のうちは「ペットにテクノロジーを使う」という文脈が主になると思います。でも、いずれ「ペットがテクノロジーを使うようになる」という変化が起こると私は注目というか、期待しています。
アレクサに話しかけて部屋の照明をOn/Offしたり、勝手にフルーツを注文しちゃったりするオウムの動画を見ましたが、インターフェースさえ合えばペットだって家電やサービスを使えるはずです。
イヌパシーも実はユーザーさんから「うちの犬はイヌパシーを着けようとすると喜ぶ」というフィードバックを頂いています。イヌパシーをつけると飼い主さんが自分のことをより見てくれて、理解してくれるようになる、という事をワンちゃん自身が学習して、それで喜ぶようだ、という事です。
ペットがテクノロジーを理解する時代はもう始まっていて、ペットがテクノロジーを使いこなす時代がくる。そういう変化の芽がどれだけ出てくるかが2019年の私の注目ポイントです。
弊社のFurboドッグカメラは、世界中で20万人以上のドッグオーナー様にご愛用しているプロダクトに成長しました。Furboは、”お留守番時のドッグオーナー様の不安”を解消するソリューションとして価値提供しておりますが、”愛犬の命や健康”は、お留守番の不安の大部分を占める重要なファクターだと考えております。そのため、弊社としても「ヘルスケア」領域でのソフトウェアサービスのアップデートも視野に入れて、今後もドッグオーナー様、ユーザー様にとってより、今以上にご満足いただける高品質なサービス提供をしていきたいと考えております。
人間界ではビッグデータという言葉自体はすでに死語化していますが、去年一昨年あたりから、主に産業動物(家畜)においてIoT技術を用いたデータ取得による生産管理等が少しずつ進んできたものの、動物・ペット業界においてははまだまだと言えます。
また、「ペット」とひと括りで扱われる事が多いですが、例えば犬と猫においても骨格や食生活など、全く異なる生物のためそれぞれに最適化されていく必要があります。最適化されるためには、生物種や年齢などの属性情報や行動データとの掛け合わせなど、定量的に評価しクラスタリングすることが重要で、これら動物から取得されたデータを活用し個々に最適化されたプロダクトやサービスが今後さらに必要とされるのではないかと予想しています(ちなみに弊社では、猫様ごとに最適化することをパーソナライズならぬ「ミャウソラナイズ」と呼んでいます)。
データが集まり動物種ごとの「飼い方」が、より定量的に明らかになることで、飼いやすさのハードルが下がりペットを飼いたい人飼う人も増えるのではないでしょうか。
そして、ペット(伴侶動物)のみならず、野生動物や産業動物とさまざまな動物がインターネットに繋がり、IoTではなく「IoA:Internet Of Animals™」が加速し、ビジネスが展開されていくと考えています。
2019年は先述のペットIoT製品の普及がどこまで広がるか、飼い主さんの支持を得られるかに注目しています。価格や精度、飼い主さんが安心して使えるかなど飼い主さん・愛犬・愛猫目線のプロダクト作りがキーになってくるのではないでしょうか。
◎ペット予防医療・遺伝子検査分野
飼い主さんの「愛犬・愛猫と長く一緒に幸せに過ごしたい」という意識は年々高まっていると感じます。食事や運動などに気を使う飼い主さんが増えており、健康食やフィットネス関連サービスの普及に注目しています。また、米国を中心にサービスが普及し始めているペットの遺伝子検査についても2019年は日本で認知が広がると思います。
◎獣医療分野
獣医師の働き方改革や0.5次診療をコンセプトにした動物病院の増加、グループ病院の増加に注目をしています。獣医師や動物看護師の方が働きやすい環境整備を通し、飼い主さんのニーズにあった医療の提供を目指す動きが顕著になると考えています。また、2018年11月に発表された共立製薬とIBMの共同での電子カルテや飼い主との情報連携を促進するプラットフォームの開発プロジェクトが発表されるなど、獣医療でも業務効率化が起こる兆しを感じています。
- 獣医療:佐藤貴紀(獣医師)、奥田順之(獣医師)
- ペット保険:市川幸子(アニコム)
- 写真:杉本奈々重(写真家)
- お出かけ系:大橋菜央(じゃらん)、森村晃一(フォレストヒルズ)、原島美保(カーロ・リゾート)
- 住まい系:金巻とも子(建築士)、田中健司(西武ペットケア)
- ペットグッズ系:山口譲二(イヌパシー)、梁原正寛(RINN)、布施健(Furbo)、伊豫愉芸子(Catlog)
- ペットサービス系:長塚翔吾(DogHuggy)
- ペットフード系:谷田大輔(Faniaml)
※敬称略
獣医療
佐藤貴紀(獣医師)
JVCC動物病院グループ株式会社 代表取締役 JVCC株式会社COO兼任(最高執行責任者)、白金高輪動物病院・中央アニマルクリニック 顧問獣医師、株式会社シロップ 社外取締役1. 2018年最も印象に残った分野・出来事
1. Jstarなどのファンド参入動物業界以外からの投資案件が増え、動物医療のグループ化が進んでいます。ソフトバンクのペット業界への投資案件も記憶に新しいですが、今後も動物医療参入のファンドが増えることが予想されます。
2. 動物由来感染症の恐怖
もともと30年前の寿命は8才くらいとされており、原因の一つに感染症があります。フィラリアです。しかし、ここ最近ではSFTSというマダニ媒介の感染症が動物由来感染症として人にも危険を及ぼしています。そこで、1つ目は犬や猫からSFTSが感染するという話題です。これは伴侶動物の予防をしっかりしないと飼い主へも危険が及ぶことになります。
2. 2019年の注目分野
1. 高齢犬などの介護サービス実際にはペット業界も高齢化が進む中(飼育されている犬の約6割が7才以上)臨床現場で感じるのはやはり寿命の延長による病気の増加です。ガン、心臓病、腎臓病など人同様の病気が死亡原因の上位を占めるようになり、ペットの家族化も進む中、高度医療が求められていることが明らかとなってきました。その中で、病院には行かず介護サービス(デイケアのようなサービス)やペットシッターなどが登場してきています。24時間見てはいられないだけに今後は必要なサービスだと感じています。
2. 飼育頭数の動向
現時点で2008年より犬に関しては減り続けている現状、また猫の横ばいな状況は今後どうなるのか。
3. ワクチンの3年ごと接種が基準となる?
WASAVAにおいて、コアワクチンの3年ごとの推奨があげられています。しかし、日本ではまだまだ普及せず1年ごとの接種となっています。サロンやドックランでも1年の証明書が求められている現状などは一度整理する必要はありそうです。ただ、レプトスピラが発生している案件もあり、ワクチンでも全て3年ごとという訳ではありません。
4. ペットグッズのデジタル化
例えば、時間になるとフードが出てくる機材や、猫の体重や尿量を計測するもの、監視カメラなどなど管理にふさわしい機材が豊富に出ていることは嬉しいことです。
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奥田順之(獣医師)
ぎふ動物行動クリニック 獣医師(獣医行動診療科認定医)1. 2018年最も印象に残った分野・出来事
1月放送のNHKプロフェッショナルで体罰的な訓練が取り上げられ、それに伴って、日本獣医動物行動研究会から動物に訓練における体罰に反対する声明が発表されたこと。攻撃行動に悩む飼い主を救うためには、体罰に反対するだけでは不十分で、問題行動をしっかり相談でき、解決できる支援体制を築く必要性を痛感した。2. 2019年の注目分野
引き続き体罰問題に注目。体罰に反対する声明が出たからと言って、体罰を肯定している人がいなくなるわけではない。なぜそのギャップが生まれるのか、そのギャップが埋まっていくのか注目していくべきポイントだと思う。体罰を肯定している人たちは「犬にやさしい、犬にストレスをかけないようにする、優しいトレーニングを推奨することで、犬が攻撃行動を示した際に、ストレスをかけないように回避に終始する指導をしてしまうことで、”咬めば・唸れば嫌な事が終わる”という学習をさせてしまい、むしろ攻撃行動を悪化させることがある」という危惧を示している。また「深刻な攻撃行動の場合で、いろいろな方法を試したがなおらず、飼い主が非常に困っている攻撃行動もあり、そうした深刻な攻撃行動に、罰を用いた方法を用いる場合があることを否定はできないのではないか」という意見もある。
実は、体罰に反対する声明の中にも、「罰を用いない方法で問題行動の改善が見られない場合には、「体罰」以外の嫌悪刺激を用いて問題行動の改善を図ります」という一文がある。体罰肯定派も否定派も、まずは罰を用いない方法を用いて改善を行い、それでも改善しない場合には罰を用いるという部分は、実は共通している。問題は、どのような罰、どの程度の罰を用いるかという問題、深刻な攻撃行動に悩む飼い主を助けるという目的と、罰による動物への負荷のバランスの問題だと思われる。
しかしながら、体罰議論は、こうした技術的な問題ではなく、体罰肯定派と体罰否定派の感情的な対立になりやすい傾向がある。双方が双方の悪い点を批判し合う構造では、建設的な議論は起こらず、双方の意見はぶつかり合い続ける。2019年、体罰問題が感情的な対立ではなく、建設的な議論になっていくかどうかは、ペット業界、特に、犬のしつけ・行動学の業界において注目のポイントとなるだろう。
ペット保険
市川幸子(アニコム)
アニコム損害保険株式会社 執行役員1. 2018年最も印象に残った分野・出来事
猫の飼育頭数が犬を上回ったこと。自由でマイペースな猫は、現代のライフスタイルに合い、一緒に暮らし始める人が増えたのではないでしょうか。犬のように散歩やこまめなお手入れが要らず、働く世代でも暮らしやすいのだと思います。当社でも、猫の飼い主様にペット保険をもっと身近に感じていただけるよう取り組んでいます。2. 2019年の注目分野
人では「腸内フローラ」が話題を集めています。健康のキーワードとして、テレビや雑誌で1度は目にしたことがあるのではないでしょうか。腸内フローラの研究も盛んに行われていて、腸内細菌の数や種類のバランスと病気の関連性もいわれています。一方で、どうぶつの腸内フローラに関する研究はまだ少ない中、アニコムグループでは、2016年から、どうぶつの腸内フローラに関する研究を開始し、2018年12月からは、ペット保険の契約者に対して 、腸内フローラ測定サービス「どうぶつ健活(けんかつ)」の提供を開始しました。腸内フローラ測定は、便を取るだけなので、どうぶつに負担をかけることなく、簡単に体の状態をチェックすることができます。また、その結果を見て、飼い主様がわが子の健康に、より向き合ってくだされば、未然に病気を防ぐことができるかもしれません。
腸内フローラの測定結果を当社の保険金請求データやどうぶつkokusei調査(生活習慣に関する当社独自調査)と照合することで、一部の疾病や生活習慣との関係も明らかになりつつあります。2019年は、「どうぶつも腸内フローラ測定で健康チェック」が注目を集めるよう推進してまいります。
写真
杉本奈々重(写真家)
写真家1. 2018年最も印象に残った分野・出来事
最も印象的だったのはペットと写真との結びつきが例年になく深まったことです。インスタグラムなどのSNSで愛犬や愛猫の写真を投稿して楽しんだり、プロのカメラマンに愛犬の写真を撮ってもらうなどのコンテンツも増えたように思います。スマートフォンやミラーレス一眼レフなどの普及で美しい写真が手軽に撮れるようになったのも印象的でした。2. 2019年の注目分野
近年、ペットと暮らすことだけの楽しみから、ペットを通じた人同士のコミュニケーションや旅行、ショッピングなどペット同伴で楽しむコンテンツが充実。ペット関係の新しい商品やビジネスも急増したようにも思いますが、2019年はさらに業界や分野を超えたコラボレーションが展開されると予想します。ペットとの生活が「自分らしく生きる」ライフスタイルの一つとして定着。衣・食・住や表現の世界を広げ、よりさまざまな需要と供給が生まれると思います。特に「写真」はライフスタイルをアウトプットするツールとして、より盛んに撮られるようになるであろう注目の分野です。SNSが普及し、情報や経験を多くの人と共有できるようになった今、個人の表現ツールというところにとどまらず、情報やビジネスツールとしての写真の用途も拡大すると思います。
個人的に関心があるのは、写真のアナログ回帰。デジタルデータとして扱うのではなく、形にして写真を残すというスタイル。紙へのプリントはもちろん、オリジナルのグッズを作成したりデザインを付加するなどして、撮った写真でさらに特別なペットとの思い出を作るという2次的な楽しみを提案したり、演出する企画などを考えたいと思っています。
お出かけ系
大橋菜央(じゃらん)
(株)リクルートライフスタイル 『じゃらん』統括編集長1. 2018年最も印象に残った分野・出来事
「じゃらんnet」の検索上位安定7ワードの中には「ペット」が入っています。予約数に関しては公開しておりませんが、検索する人は多く、さまざまなワードで宿泊施設や宿泊プランを気にしている人が多いことが分かります。旅行雑誌「じゃらん」でもペットと泊まれる宿を掲載すると反響があります。関東では特に箱根エリア、軽井沢エリアに増えていると感じます。2. 2019年の注目分野
検索上位に安定して入っていることから、来年も予約は伸びると思います。旅行にペットを連れて行く方も増加しているようで、ペット同伴OKの道の駅も人気です。宿泊施設に関しては、貸別荘やコテージなど貸し切りで気兼ねなく過ごせるものが人気を集めています。また宿泊プランはカスタマーのニーズに合わせて、ドッグランや犬用のスパがお部屋についているなど機能が充実したもの、愛犬の誕生日を祝うソフトが充実したものなど多様化してきています。森村晃一(フォレストヒルズ)
株式会社フォレストヒルズ 代表取締役総支配人、ワンコネット那須協議会 会長1. 2018年最も印象に残った分野・出来事
大手資本のペットツーリズム業界への参入が続くなか、ペット同伴ホテルは1泊3万円以上の高級・高額なホテルに偏重して新規開業が増えた。シニア層のペット離れが顕著な中、供給過多になっていないのか?2. 2019年の注目分野
ペットとの同伴旅行はますますポピュラーとなり、需要はますます増えると思います。「ペットは家族同然」から「家族の一員」と考えるようになり、「旅行も一緒に行くのが当たり前」であり「家族と楽しめる旅行」が求められています。供給側としては単に「ペットと一緒に泊まれます」というだけでなく、一般的なホテルの提供する「安心・安全・清潔・快適」は当然のこととして、「こんな事ができます」「こんな楽しみ方があります」「こういうことを知っておくと役立ちます」といった、「サービスの多様化と差別化」が必要になるように思います。
供給量が少なかった時代は「ペットと一緒に泊まれる」というだけで稼働が見込めましたが、今後はペットツーリズム業界全体として、価格以上の質的満足度を提供できるように努力することがマーケットから求められてくるのではないでしょうか。
原島美保(カーロ・リゾート)
株式会社アットエフ ホテル事業部 専務取締役1. 2018年最も印象に残った分野・出来事
本年戌年で、弊社CARO RESORTの干支が一回りいたしました。12年前に一号店を立ち上げ12年。昔からのオーナー様とわんこ達も共に12歳年齢を重ねました。犬の世界も老犬が……と耳にしますが、実際弊店をご利用いただくお客様のわんこも同じくシニア層に入ってまいりました。残念なお知らせをいただく場面も増え、オーナ様のご年齢的に次の子を迎えないという選択をされる方もおいでになります。まさに、世代交代の時なのかと実感する一年でした。2. 2019年の注目分野
前述した通り、シニア犬が増えるということは、オーナー様にとって1日1日がとても重くなってまいります。私共のようなリゾート施設はそういったオーナー様の気持ちに寄り添い、思い出作りのお手伝いをしなければならないと思っております。シニア犬に向けたサービスや計らいが重要になるかと。注目している分野はドッグレスキュー。弊店を利用するオーナーはいわば犬飼いのプロ。オーナー様のご年齢的に次の子を迎えるのを躊躇している方がいるのは事実です。レスキューでは成犬の里親はみつけにくいと聞きます。今以上にマッチングサービスが活性することを願います。
住まい系
金巻とも子(建築士)
一級建築士事務所 かねまき・こくぼ空間工房 主宰、家庭動物住環境研究家1. 2018年最も印象に残った分野・出来事
ペット共生型有料老人ホーム「ペピイ・ハッピープレイス TAMATSUKURI」の開設。獣医師や動物看護士によるサービスにとどまらす、飼い主のいない猫を減らすための譲渡を目的とした「子猫リレー事業」の施設も併設している。高齢者施設や賃貸案件でも付加価値をつけたものが活発になってきている。2. 2019年の注目分野
消費税増税を目前にし、住宅関連の需要が高くなる。ここ数年で、保護猫・保護犬の社会的認知度と人気が高まる中、賃貸物件で猫との暮らしがかなりクローズアップされ供給が増えてきたが、一時期低迷していた犬との暮らしに焦点を当てた住宅商品や賃貸商品も、これに刺激される形で活発化してきている。合わせて、IKEAなどの大型インテリア量販店がペットインテリアにスポットを当てて、飼い主向け提案を広げてきている。さらに、材料関係では、医療施設向けなどに開発されてきた建材や繊維関係の高機能性素材が、一般住宅向けにも展開されているので、子供向けのようなグッズ展開が多かったペットアイテムが、大人向け高品質な大物家具商品においても供給展開されると期待され、住環境提案側として楽しみにしている。田中 健司(西武ペットケア)
株式会社西武ペットケア 代表取締役社長 田中 健司1. 2018年最も印象に残った分野・出来事
業界動向ということではありませんが、犬の飼育頭数減少と猫の増加により、統計調査開始以来初めて日本における犬猫の飼育頭数が逆転した事ですね。またその裏でSONYのaiboが売れている事にも驚きました。2. 2019年の注目分野
人の世界ではモノからコトへの移行が言われて久しいですが、新元号への移行に関連したゴールデンウィークの10連休や働き方改革関連法案の中での有給休暇の取得の義務化などもあり、ペットにおけるそれも益々拍車がかかるのではないかと見ています。ペットとのコト体験需要、例えばペット・ツーリズムやペット同伴型のイベントなどには注目しています。また人もペットも高齢化が進行している事から、シニア向けのサービス需要の高まりなどを背景に、ペットのQOL向上に資する新サービスにも注目しています。具体的には出張型トリミングやペットシッター、老犬老猫ホームなどの終生飼養施設などがそれです。
加えてテクノロジーを活用した新たな商品やサービスも2019年はブームになる気がします。ペットとの生活支援やヘルスケアにつながる各種のIoTデバイスがどの程度普及するのかや、中国や韓国ではビジネス化が進んでいる「クローンペット」の話題などは、日本でもさまざまな議論を呼ぶと考えています。また、先に述べたaiboをはじめとしたロボットペットの動向などについては命あるペットの代替として存在を確立出来るのか注視をしておきたいと思います。
ペットグッズ系
山口譲二(イヌパシー)
株式会社ラングレス 代表取締役 山口譲二1. 2018年最も印象に残った分野・出来事
イヌパシーの開発の性質上、以前から犬の知能、認知能力、進化、遺伝に関する記事によく目を通すようにしていましたが、今年は特にそういった記事を目にする量が増えてきたと感じます。一昔前は犬が学術的な研究対象にされることはあまりなかったのが、この10年ほどで代わり、そしていよいよ一般の飼い主さんたちの感心も高まってきたように感じます。飼い主さんが自宅で、イヌパシーを通して科学者の目で愛犬を見る、そんなシーンを数多く作って行きたいです。2. 2019年の注目分野
最新のテクノロジーが、ペットにも使われるようになってきていることに注目しています。遺伝子検査やIoTなどが顕著だと感じていますが、人間用に開発されたテクノロジーをペット用に商品化する上での技術的なハードルはどんどん下がって来ています。2018年は「ペットテック」という言葉をよく聞きました。これは、ペットとテクノロジーの組み合わせがまだ珍しいゆえの言葉だと思います。2019年とそれ以降、ペットとテクノロジーの組み合わせはどんどん当たり前になっていくはずです。
ペットとテクノロジーの組み合わせは、最初のうちは「ペットにテクノロジーを使う」という文脈が主になると思います。でも、いずれ「ペットがテクノロジーを使うようになる」という変化が起こると私は注目というか、期待しています。
アレクサに話しかけて部屋の照明をOn/Offしたり、勝手にフルーツを注文しちゃったりするオウムの動画を見ましたが、インターフェースさえ合えばペットだって家電やサービスを使えるはずです。
イヌパシーも実はユーザーさんから「うちの犬はイヌパシーを着けようとすると喜ぶ」というフィードバックを頂いています。イヌパシーをつけると飼い主さんが自分のことをより見てくれて、理解してくれるようになる、という事をワンちゃん自身が学習して、それで喜ぶようだ、という事です。
ペットがテクノロジーを理解する時代はもう始まっていて、ペットがテクノロジーを使いこなす時代がくる。そういう変化の芽がどれだけ出てくるかが2019年の私の注目ポイントです。
梁原正寛(RINN)
株式会社RINN CEO & Cat Life Director1. 2018年最も印象に残った分野・出来事
IoTサービスによる、ライフログデータの収集やインターネット経由でカスタムフードを提案するパーソナライゼーションの動きが印象に残っています。新しいテクノロジーによって、これまで見えなかったことがさらに可視化されれば、獣医療の新しいアプローチやペットヘルスケアサービスの高成長につながると予想しています。2. 2019年の注目分野
まずは5Gの普及による、オンライン診療の分野。特に猫は移動や検査のストレスが大きい動物であるため、少しでも猫のストレス負担を軽減できるようなオンライン診療サービスの登場に注目したい。さらに、国内でもキャッシュレス化の流れが急速に進んでいることから、動物病院におけるスマホ決済の普及やコミュニティ特化型の独自通貨の拡がりにも期待しています。現在、我々が取り組んでいる異業種間のオープンイノベーションや、犬猫用として普及している製品を“キャット・ファースト”な製品に発展させた商品リリースもご期待ください。関連商品
布施健(Furbo)
Tomofun株式会社(Furbo ドッグカメラ)代表取締役1. 2018年最も印象に残った分野・出来事
ソフトバンクの米国散歩代行サービス「ワグ」への3億ドル投資とAmazonPrimePetサービスのスタート。日本よりペット人口、市場ともに成熟している米国でペット×テクノロジー領域への大型投資や、大企業の新事業が発表され、改めてペット×テクノロジーのポテンシャルを感じた1年でした。2. 2019年の注目分野
今後も比較的レガシーな領域であるペット業界のあらゆる領域でテクノロジーを絡めた新サービスがスタートしていくことと考えております。また、ペットの家族化が進行する中において、飼い主視点で考えると、ペット×テクノロジー領域の中でも、「ヘルスケア」の切り口は、ペットの”命”に関わる部分であるため、最も成長性が高い分野だと考えております。例えば、犬猫のコンディションやシチュエーションにあわせて最適なフードやおやつ、グッズを推奨し、購入を促すようなサービスや、犬猫の体重や行動の変化をデータとして貯めることで、ペットに忍び寄るさまざまなリスクやソリューションを提供するようなサービスなどには注目していきたいと考えております。弊社のFurboドッグカメラは、世界中で20万人以上のドッグオーナー様にご愛用しているプロダクトに成長しました。Furboは、”お留守番時のドッグオーナー様の不安”を解消するソリューションとして価値提供しておりますが、”愛犬の命や健康”は、お留守番の不安の大部分を占める重要なファクターだと考えております。そのため、弊社としても「ヘルスケア」領域でのソフトウェアサービスのアップデートも視野に入れて、今後もドッグオーナー様、ユーザー様にとってより、今以上にご満足いただける高品質なサービス提供をしていきたいと考えております。
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伊豫愉芸子(Catlog)
RABO, Inc. President&CEO1. 2018年最も印象に残った分野・出来事
大手家電メーカーのペット業界参入。15歳以下の子どもよりも、すでにペットの数のほうが多く、家庭をターゲットとした大手メーカーが業界参入するのは必然であり、市場の成長傾向や資本の流入を象徴した一件であったと思います。個人的には、どうせならプラズマクラスターを搭載して欲しかったですが。2. 2019年の注目分野
センサーデバイスを中心に取得された「動物ビッグデータ」分野。人間界ではビッグデータという言葉自体はすでに死語化していますが、去年一昨年あたりから、主に産業動物(家畜)においてIoT技術を用いたデータ取得による生産管理等が少しずつ進んできたものの、動物・ペット業界においてははまだまだと言えます。
また、「ペット」とひと括りで扱われる事が多いですが、例えば犬と猫においても骨格や食生活など、全く異なる生物のためそれぞれに最適化されていく必要があります。最適化されるためには、生物種や年齢などの属性情報や行動データとの掛け合わせなど、定量的に評価しクラスタリングすることが重要で、これら動物から取得されたデータを活用し個々に最適化されたプロダクトやサービスが今後さらに必要とされるのではないかと予想しています(ちなみに弊社では、猫様ごとに最適化することをパーソナライズならぬ「ミャウソラナイズ」と呼んでいます)。
データが集まり動物種ごとの「飼い方」が、より定量的に明らかになることで、飼いやすさのハードルが下がりペットを飼いたい人飼う人も増えるのではないでしょうか。
そして、ペット(伴侶動物)のみならず、野生動物や産業動物とさまざまな動物がインターネットに繋がり、IoTではなく「IoA:Internet Of Animals™」が加速し、ビジネスが展開されていくと考えています。
ペットサービス系
長塚翔吾(DogHuggy)
株式会社DogHuggy 代表取締役1. 2018年最も印象に残った分野・出来事
ペットIoTの製品リリース。イヌパシーやCatlog、ペットケアモニターなどスタートアップだけでなく大手企業も参入するなど盛り上がりを見せました。数年前では実現が難しかった製品がテクノロジーの進歩と共に形になってきたことが印象的でした。2. 2019年の注目分野
◎ペットIoT分野2019年は先述のペットIoT製品の普及がどこまで広がるか、飼い主さんの支持を得られるかに注目しています。価格や精度、飼い主さんが安心して使えるかなど飼い主さん・愛犬・愛猫目線のプロダクト作りがキーになってくるのではないでしょうか。
◎ペット予防医療・遺伝子検査分野
飼い主さんの「愛犬・愛猫と長く一緒に幸せに過ごしたい」という意識は年々高まっていると感じます。食事や運動などに気を使う飼い主さんが増えており、健康食やフィットネス関連サービスの普及に注目しています。また、米国を中心にサービスが普及し始めているペットの遺伝子検査についても2019年は日本で認知が広がると思います。
◎獣医療分野
獣医師の働き方改革や0.5次診療をコンセプトにした動物病院の増加、グループ病院の増加に注目をしています。獣医師や動物看護師の方が働きやすい環境整備を通し、飼い主さんのニーズにあった医療の提供を目指す動きが顕著になると考えています。また、2018年11月に発表された共立製薬とIBMの共同での電子カルテや飼い主との情報連携を促進するプラットフォームの開発プロジェクトが発表されるなど、獣医療でも業務効率化が起こる兆しを感じています。